横浜地方裁判所 平成4年(わ)555号 判決 1992年7月29日
国籍
大韓民国
住居
神奈川県座間市相武台二丁目二二九番地の三
会社役員
金嶋昭夫こと 金昭夫
一九四五年六月一二日生
所得税法違反被告事件
主文
被告人を懲役二年六月及び罰金七、〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、自己の所得税を免れようと企て、自己が経営する飲食店等の売上の一部を除外し、自己名義の所得税の確定申告書のほか、金嶋昭夫名義、朴順徳名義及び金良名義の所得税の確定申告書を作成提出して、各申告書の名義人の所得であるように見せかけるなどして所得を秘匿した上
第一 昭和六二年分の実際総所得金額は一億九、六四〇万一、八四九円で、これに対する所得税額は一億九三二万五、三〇〇円であったにもかかわらず、同六三年三月一六日、神奈川県厚木市水引一丁目一〇番七号所在の所轄厚木税務署において、同税務署長に対し、同六二年分の総所得金額は一、〇九六万九、六〇〇円であり、これに対する所得税額は一七四万三、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書(平成四年押第一六九号の3)を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額一億七五八万一、八〇〇円の所得税を免れ
第二 昭和六三年分の実際総所得金額は一億五、四〇五万八、〇一三円で、これに対する所得税額は八、二一八万九〇〇円であったにもかかわらず、平成元年三月一五日、前記厚木税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額は、一、一〇三万八、五七〇円であり、これに対する所得税額は一七一万一、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書(同号の2)を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額八、〇四六万九、四〇〇円の所得税を免れ
第三 平成元年分の実際総所得金額は二億四、五三二万一、九八八円で、これに対する所得税額は一億一、七三八万四、八〇〇円であったにもかかわらず、同二年三月一六日、前記厚木税務署において、同税務署長に対し、同元年分の総所得金額は一、二五三万四、六九一円であり、これに対する所得税額は二〇五万二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書(同号の1)を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額一億一、五三三万四、六〇〇円の所得税を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書三通
一 小中静江、小日向進、斉藤トリ及び金良の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏(東京国税局大蔵事務官)作成の売上調査書、仕入調査書、租税公課調査書、水道光熱費調査書、通信費調査書、広告宣伝費調査書、接待交際費調査書、損害保険料調査書、修繕費調査書、消耗品費調査書、減価償却費調査書、繰延資産償却費調査書、福利厚生費調査書、給料賃金調査書、支払手数料調査書、利子割引料調査書、地代家賃調査書、移転関係費調査書、雑費調査書、申告事業所得調査書、家賃収入調査書、不動産経費調査書、配当所得調査書及び雑所得調査書各一通
判示第一の事実につき
一 押収してある62年分の所得税の確定申告書(平成四年押第一六九号の3)
判示第二の事実につき
一 押収してある63年分の所得税の確定申告書(同号の2)
判示第三の事実につき
一 押収してある元年分の所得税の確定申告書(同号の1)
(法令の適用)
各所得税法二三八条、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に加重)、一八条、二五条一項
(懲役刑につき)
(検察官 阪井博 出席)
(裁判官 安藤正博)